OEM契約
OEM CONTRACT
OEM契約で記載すべき事項とは?
具体例を挙げて解説!
ライセンス契約との違いも理解しよう
「OEM契約書に何を記載すればいいかわかならい」
「メーカーが契約書を用意したけれど、内容を理解できていない」
こんなお悩みはありませんか?
OEM契約は、メーカーとのトラブルを事前に回避したり、損害が起きた際の責任の所在を明らかにする重要なものです。OEM契約書に関する疑問は放置せず、確実に理解した上で契約を締結しましょう。
そこで本記事では、OEM契約書に記載すべき事項や、それぞれの詳しい内容、具体例を紹介します。また、OEM契約と混同されがちなライセンス契約との違いについても解説します。OEM契約についての基本的な知識を身につけ、自社の不利にならないよう契約を進めましょう。
OEM契約書に記載すべき9事項
OEM契約書は、委託中や商品製造後のトラブルを避けるために欠かせないものです。製造する商品の仕様や発注数、納期、商品の検査、委託料や支払い方法など、記載すべきことは多岐に渡るため、漏れがないよう十分に確認しましょう。
本章では、OEM契約書に最低限記載しておきたい事項について、詳しく解説します。
1商品・パッケージの仕様について
商品の仕様は、契約書に記載すべき最も重要な事項です。OEMメーカーが仕様を変更したり、イメージで進めたりすることがないよう、どのような商品を製造するのかを詳細に指定しておきましょう。
なお、仕様が複雑な場合や指定が多い場合は、別途仕様書を添付するのが一般的です。仕様書には、以下のような内容をまとめておくと良いでしょう。また、商品の仕様を定めるタイミングで、パッケージの仕様についても指定しておきましょう。
【定めておくべき事項】
- 商品のサイズ
- 内容
- 原材料
- 製造方法
- 各種表示について
- パッケージの仕様・表示
など
このほか記載しておくべき事項として、製造中に仕様を変更する場合の対応や、メーカーが仕様に疑問を持った場合の対応の取り決めなどが考えられます。
2最低発注量について
下請けであるOEMメーカーは、一度に大量に製造することで、原材料や人件費などのコストを抑え、通常よりも安価に商品を製造しています。もし、大量発注を約束していた委託企業が、製造途中で購入数を減らしてしまうと、抑えられなかったコストはメーカーの負担になり、下請法に違反する可能性もあるでしょう。そこで、OEM契約では、委託企業が最低発注量を定めます。メーカーとの信頼関係を構築し、トラブルを避けるためにも、委託企業はあらかじめ以下のような事項を契約書で定めておくと良いでしょう。
【定めておくべき事項】
- 最低発注量
- 最低発注量を継続する期間
など
3納期について
販売スケジュールを逆算し、いつまでにどれくらいの数を納品する必要があるのかを明記しましょう。
【定めておくべき事項】
- 納品数
- 納品スケジュール
など
4検査について
メーカーから納品された商品は、委託企業側で検査を行います。契約書には、検査の内容や検査方法を明記しておきましょう。また、不合格品の補修についての事項、検査結果の通知方法や通知されるまでの期間も取り決めておく必要があります。
【定めておくべき事項】
- 検査内容・検査方法
- 検査期間
- 補修の条件、上限回数
- 検査結果の通知方法・通知までの期間
など
5契約不適合責任について
契約不適合責任とは、検査時に不合格だった商品の対処法を詳細に定める事項です。追加納入や代品納入、値引きや損害賠償請求の可否のほか、検査後に新たに発見した不具合の処理・対応、対応期間の設定などを記載します。
【定めておくべき事項】
- 商品に不具合があった場合の補修・修正請求について
- 商品に不具合があった場合の代金の減額請求について
- 不具合がある商品によって、委託企業が損失を被った場合の損害賠償について
- 「商品の不具合が改善されない」「品質が著しく低い」などの場合における契約解除について
- 契約不適合責任の責任期間や特約による期間変更について
など
6委託料・支払方法について
トラブルを避け、円滑に取引を進めるためにも、料金に関する事項を明確にしておくことは重要です。委託料や算出方法、支払時期・タイミング、支払いの方法など、トラブルになりやすい事項について、しっかりと定めておきましょう
【定めておくべき事項】
- 委託料と算出方法
- 委託料の支払時期・タイミング
など
7製造物責任について
製造物責任とは、商品の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が発生した際に、製造業者が追うべき責任です。OEMの場合は、実際に商品を製造したOEMメーカーが「製造業者」に該当し、製造物責任を負うほか、委託企業も製造業者として責任を負うことがあります。
【定めておくべき事項】
- 委託企業とメーカーのどちらがクレームに対応するか
- 損害賠償の対応をどのように分担するか
など
8再委託の可否について
再委託とは、製造を受注したOEMメーカーが、製造の一部、または全てを別のメーカーに委託することを意味します。再委託は、製造の監視・監督が困難になるため、委託側は特別な理由がない限り認めないのが一般的です。契約書には、再委託の可否を明記するほか、委託を認める例外的なケースでも、再委託先が損害を引き起こした場合は受託者に責任があることを記載しておきましょう。
【定めておくべき事項】
- 再委託の可否
- 再委託先が起こした損害の責任
など
9契約期間について
委託側、受託側双方にとって、契約期間は取引の安定性や発注単価に関わる重要な事項です。OEM契約書には、必ず契約期間を記載しましょう。また、契約期間終了後に自動更新を行うかどうか、自動更新しない場合はいつまでに通知を行うかなどもあらかじめ取り決めておくとスムーズです。
【定めておくべき事項】
- 契約期間
- 自動更新の有無
- 自動更新がない場合の通知
10秘密保持について
OEMでは、委託企業が自社の製造ノウハウや技術、メーカー側が製造ラインをそれぞれ提供し合います。契約期間中に知り得た情報を互いに流出させないよう、秘密保持に関する事項はしっかり検討し、契約書に記載しましょう。
【定めておくべき事項】
- 秘密情報の定義
- 秘密情報の開示・漏えいの禁止について
- 秘密情報を開示する特例について
- 契約終了後の秘密情報の扱い
- 秘密情報が漏えいした場合の損害賠償について
OEM契約とライセンス契約の違いとは?
OEM契約とライセンス契約はたびたび混同されますが、内容は大きく異なります。委託企業は、OEMを委託すると同時にライセンス契約を締結するケースもあるため、事前にそれぞれの内容を確認しておきましょう。
OEM契約の概要
OEM契約の場合、委託企業は商品の製造のみをOEMメーカーに委託し、出来上がった商品の販売は委託企業が行います。委託企業は、商品の製造を委託した対価を委託料としてOEMメーカーに支払います。
1 | 契約の対象 | 商品の製造 |
---|---|---|
2 | 支払い | 委託企業(自社)から受託企業(OEMメーカー)へ委託料を支払う |
ライセンス契約の概要
ライセンス契約とは、知的財産を持つ「ライセンサー」が、ライセンス契約を結ぶ相手に対し、自社の知的財産の使用・利用を許諾する契約です。ライセンサーはライセンス契約により、ブランドやコンテンツを使用する「ライセンシー」からライセンスの使用料が支払われます。
1 | 契約の対象 | 知的財産(コンテンツ)を使った商品の製造・販売の権利 |
---|---|---|
2 | 支払い | ライセンシー(他社)がライセンサー(自社)に知的財産の使用料を支払う |
【まとめ】OEM契約の内容を理解し、安心できる契約を。
OEM契約では、委託企業とメーカーの立場が不均衡になりやすいという点に注意が必要です。とくに、取引に下請法が適用されている場合は、契約内容を慎重に検討しましょう。また、OEMは取引が中長期にわたって継続されるケースが多いため、随時取引内容を見直し、調整を行う必要があります。委託企業、受託メーカー双方が安心してスムーズに取引を行うためにも、OEM契約に必要な事項を正しく理解し、適切に契約を行うことが大切です。
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